2010年05月11日

2010年5月3日「あら」様からの質問

Q
為替相場の見方について
中国バブルがはじけた場合の経済インパクトは、ドバイショックより大きいといわれていますが、ドル円への影響を教えてください。
ドバイショック以上の円高になるのでしょうか?


A
あら様
力也のFX道場、御愛顧のほどありがとうございます。

さて、御質問に対しわたくしなりの見解を先に述べさせていただくなら、当然、ドバイショックよりチャイナショック発生の影響はドル円相場には凄まじいインパクトが懸念され短期的にはリスク回避での円高リスクを想起しておくことが無難かと思われます。

石油や穀物や金属などの資源価格も下がるでしょうし主要各国の株価の下落、そして 避難的には米国財務省債の価格が上昇し金利が低下するならキャリートレードの逆流がおき、より円高圧力が高まることも考えられます・・。
勿論、急激な混乱に対し世界の金融システム維持を大義名分に通貨当局が介入してくる可能性も否定できませんが・・・。

ドバイショック時で記録した2009年11月27日のドル円相場84円台

また、ギリシャショック時で記録した2010年5月7日のドル円相場87円台

との環境背景とは当然、似て非なるものが想定でき、過去則が全て当てはまる、と決め付けるのもある意味、リスク放棄に繋がる可能性から、事前に複数の仮説をイメージしておく必要を感じます。
 
例えば、中国バブルがはじけて中国の国際信用力の低下が人民元安を招く、とするなら中国産の商品が今より安くなり、結果、国際競争力を増し、輸出産業の復活から早急な経済回復へ、とした萌芽も否定できません。
一方の日本経済の現在の命脈は自国で生産してもコストが高く国際競争に太刀打ちできないことから生産拠点を中国に求めていましたが、世界経済の牽引国である中国の不調から中国の保護主義的な施策も想定でき、例えば新たな生産拠点を求めるコスト、そして本邦の輸出入法人それぞれの企業収益の悪化も否めなくなる、とするなら、日経平均株価が下がり、地価の低迷や銀行の不良債権増加も懸念され日本独り負けでのドル円相場、、、としたシナリオも想起可能です。

そもそも日本のバブル経済の破綻後、日本は十数年にもわたる経済衰退期に入りましたが、中国も同様な長期的衰退が起こる、と考えるにも些か差異を感じます。

まず、御質問の
>中国バブルがはじけた場合、、

つまり、はじける懸念があるのか否か、バブルなのか否かも含めて改めての事実検証です。

菅直人副総理兼財務・経済財政担当相が2010年2月(カナダ・イカルイト)7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、「中国の経済状況はややバブルのおそれがあり、注目している」「日本も不動産バブルを経験して痛い目にあったので、そうならないよう安定的な成長が必要」とコメント。中国でも、「菅財務相の提言を真摯に受け止めるべき」との機運からそれを分析する記事などが多く配信されました。

そして2010年3月中旬、中国中央テレビ局がマクロ経済政策について温家宝総理に質問した内容からです。
2009年の中国国内新規貸付額が9兆6000億元となり、全社会固定資産投資額が前年比30%増、そして一部の都市の住宅価格は高止まりし経済のバブル化が指摘されたことについて温家宝総理自身が「非常に心配している問題だ。」と答え中国国内の不動産バブルへの懸念を示し「中国の不動産投機を抑制する必要がある。」との発言からもその姿勢が窺えます。

つまり日中政府要人の公式的見解でも中国の経済状況に対してリスク認識が存在し、温家宝総理は”懸念がある”から”対応している”ということです。

具体的には日本のバブル崩壊、失われた10年を教訓に不動産価格の膨張は経済バブルと銀行危機を招きやすいことを十分に念頭においた不動産業界への管理を強める施策で窺われます。

わたしなりに考えるなら本来、中央銀行は金融政策目標を国内物価水準の安定に限るのではなく、資産価格の変動にも注意を払わなければならないにもかかわらず1985〜1989年当時の日本はバブル経済形成初期にすばやく緊縮政策を採らず、日本銀行が一般物価水準の安定にのみ注目して資産価格の絶え間ない膨張を軽視した帰来があります。

確かに当時の日本は「ジャパンアズナンバーワン」(懐かしいですね)、と物心両面において先進国と比肩したと慢心したことからバブルへの警戒と認識が不足し、その結果としてバブルの絶えざる増大と拡張という事態を招き、結果、バブル崩壊後の傷跡を一層深めてしまったのかもしれません。

対して現在の中国政府は日本の失政を教訓にバブルの危害に対して十分に冷静な認識を持ち、前出の温首相の発言からもわかるように経済運営情勢に細心の注意を払っていることが窺われ中国国内6大都市等をはじめ住宅地価モニタリングから銀行の貸出規制や住宅転売への課税強化。
また新規プロジェクト向け融資の抑制を打ち出したり、企業融資された資金を不動産投資に転ずることを禁止したりと、銀行融資を通じた規制も試みています。

無論、当時の日本の大蔵省は土地バブルを抑えるために課税強化、窓口規制、そして最後に不動産融資の総量規制を行っており、現在の中国の政策も似た印象がなくもないですが、根本的に違うと思われる点があります。

第1に中国政府は不動産の現状をバブルとしてこれを抑制する姿勢は見せている一方で中国の高い経済成長率に支援された財政政策と通貨政策(人民元)がいずれも非常に穏健保守的なことです。
株式市場も緊急性が高まったと判断されれば取引の停止、取引所の緊急閉鎖、、とした可能性も否めません。
日本は既に金融の完全自由化から国際金融資本市場での信認を受けていますが中国政府及び中国共産党、若しくは中国人民銀行の施策としては金融規制が厳しく、資本項目規制管理を実施しており、国際化の成熟度は低く、「プラザ合意」後の日本円の対米ドル上昇幅は300%を軽く超えているのに対して人民元は未だに完全な変動相場制の洗礼を受けさせず事前調整と微調整で大きな変動をできるだけ避けているのが現状です。

第2に、1990年代、日本経済はすでにポスト工業化段階に入り、第4次、第5次サービス産業を模索し、社会資本のインフラ充実や一般生活の習熟から極端で過激な貧富格差はなく、国内市場の飽和状態からの海外脱却が命題化されていました。
バブル経済崩壊の打撃を受けた後、大きな需給ギャップを埋めることが出来ず、経済衰退に入ることを決定づけ、そして現在はデフレに苦悶している我が国の事情は御存知の通りです。

対して中国18億人の人口から紐解く潜在的な国内消費市場、インフラ整備の必要性、そして成長性、国力の規模、政治体制、、、。
勿論、中国が経済、社会、政治問題、法制度の不備、市場経済の歪み、腐敗問題など一般には指摘される多くの問題点を抱えつつ固定為替相場制や行政主導の経済政策を維持するのは難しいと思われ、また自国製品優遇政策やインフラ投資にたよった経済成長を続ける訳にはいかないでしょう。
しかし、中国は、新共産自由資本主義を模索している”経済移行期国家”の段階であり、また、沿岸都市部と内陸農村部間での大きな貧富格差を未開拓な中国国内消費市場、と位置付けるなら潜在的な国内需要が早急なリカバリーチャンスとして取り沙汰されるかもしれません。

長くなりましたが、例えば『地球に隕石が墜ちたら?』の疑問を想起したときと同様、その発生の可能性と発生した場合の短期的な動きと中長期的な動きのシュミレーションをそれぞれ複数構築してのリスク管理トレード、を常に考えていおくことが望ましいと思います。

今後もあら様におかれましては常時においてリスク管理を重視し、末永く岡三オンライン証券及び力也のFX道場への御愛顧のほどを宜しくお願い致します。

FXよろず相談窓口回答者 武部力也

 



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2010年05月11日

お疲れ様です、岡三オンライン証券の武部力也です。
中期的な今後のドル円動向を占う上で一番興味を持ったのは昨晩の米国債市場動向からの影響でした・・。

今まではPIGS(ポルトガルPortugal、イタリアItaly、ギリシャGreece、スペインSpain)をはじめとした南欧諸国のソブリンリスク(国家の信用リスク)を回避するため「質への逃避」から米債に買いが集中し米10年債利回りは2009年12月以来の水準3.400%割れまで急低下していました。(債券価格の上昇/利回りの低下)

しかし、先週末以来、ギリシャ問題に起因した金融システムの混乱を防ぐため多くの国々、国際金融機関が多面的な措置を発表。
米国債市場への安全逃避の買い需要の一部が後退し、価格は下落し金利が上昇。強いてはトレンド双行を見せるドル円相場でも10年債金利の上昇に牽引されるが如く反転センチの萌芽を感じさせておりギリシャ問題の終焉が期待されるところです。

ドル円と10年債0511
出所:岡三オンライン証券:e-profit FXチャート・日足/米ドル円/米10年債金利


本日の東京外国為替市場。

短期的には前例のない一連の緊急措置とした欧州の支援枠組み合意などを好感したユーロ買いには早くも一服感が出ており、また、米格付け会社が「ギリシャを4週間内にジャンクに格下げする可能性」「ポルトガルのソブリン格付けを引き下げる可能性」等を発表したことから欧州諸国の信用に対する不安が再燃。
ユーロの上値が重い展開となるならドル円相場への影響も無視できません。

0511ドル円とユーロ円
出所:岡三オンライン証券:e-profit FXチャート・60分足/米ドル円/ユーロ円


加えて中国小売売上高や消費者物価指数の発表が予定。

11:00 (中) 4月生産者物価指数[前年比](前回+5.9% 予想+6.5%) 
11:00 (中) 4月消費者物価指数[前年比](前回+2.4% 予想+2.7%) 
11:00 (中) 4月小売売上高[前年比](前回+18.0% 予想+18.2%) 
11:00 (中) 4月鉱工業生産[前年比](前回+18.1% 予想+18.5%)
11:00 (中) 4月固定資産投資[年初来、前年比](前回+26.4% 予想+26.0%)

出所:岡三オンライン証券:e-profit FXチャート/岡三グループ各社/各種情報ベンダー

想定内での底堅さが示されると、リスク回避の後退の可能性(円売り圧力)。
一方、予想を下回ったり若しくは逆に強過ぎる数字になると、金融引き締め強化の懸念が台頭しリスク回避に作用する可能性(円買い圧力)から対豪ドルをはじめクロス円からのドル円連動/影響に警戒です。


ドル円ぱっと見テクニカル

0511東京ドル円
出所:岡三オンライン証券:e-profit FXチャート・60分足/米ドル円



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2010年05月10日

お疲れ様です、岡三オンライン証券の武部力也です。

引き続きギリシャをはじめとしたPIGS(ポルトガルPortugal、イタリアItaly、ギリシャGreece、スペインSpain)諸国、南欧諸国のソブリンリスク(国家の信用リスク)を探る動きからの影響がドル円相場に見込まれます。

今夜の材料。
リーマンショックから1年8カ月・・・。
未だ完全に処理が進んでいない欧米金融機関の不良債権問題も取り沙汰される中でギリシャが破綻すればギリシャ国債を保有している欧米金融機関において損失が発生し、資本不足に陥り銀行間で相手を信用できないという、カウンターパーティーリスクも語られ始めていたなかで米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、カナダ銀行(BOC)、スイス国立銀行(SNB)、日本銀行(BOJ)の間で米ドルスワップ取り決めが決定。

要は金融機関が資金をやり取りする短期金融市場にドル資金を協調して融通供給し国際的な資金ショートが起こらないような国際金融市場の安定と円滑化を図る目的のためですが危機がここまで深刻になると政治の介入も不可避。当然、ギリシャ問題解決に向けて更なる前進反転(勿論、後退もあり)週明け欧米勢の要人コメントには要警戒です。


※カウンターパーティーリスク
インターバンク銀行間市場に限らず一般的な商行為、若しくは一般生活の中でも良くあると思います。
例えば「え?武部?だめだめ、危ないね!100円だって貸さないし、ツケなんか有り得ない!」と言われるケース。
インターバンク銀行間市場でドル円レートが90.00の時、A銀行がB銀行から100万ドル買った場合、A銀行はB銀行に9000万円(1ドル90円×100万ドル)を振り込むわけですが一方で信用不安を囁かれるB銀行に対し「本当に当行に100万ドルを振り込んでくれるのか?」とA銀行サイドは先方を警戒して、「B銀行とは取引を控える!」等、クレジット・ライン(Credit line 信用与信枠)を減らす、若しくは削除することで発生する信用リスク(=デフォルトリスク<債務不履行の危険性>)のことであり、市場全体の流動性低下を招きます。

1997-1998年頃はジャパン・プレミアム(Japan Premium)と言って、バブルの痛手を負った日本の金融機関が海外の金融市場から資金調達するとき相手の他国金融機関より通常より高い金利を要求されました・・・。


材料。
19:00    OECD景気先行指数
20:00(英)イングランド銀行金融政策委員会(MPC)政策金利(0.50%で据え置き予想)
20:00(英)BOE資産購入枠  (2000億ポンドで据え置き予想)
21:15(加)4月住宅着工件数 (前回+19.73万件 予想+20.00万件)
22:30(米)米国株式市場(〜05:00)
23:00(米)ニューヨークオプション行使時間期限
24:00(英)ロンドンフィキシング 
02:30(米)コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁講演

時刻未定(予定)
○EU外務相会合
○欧州に関する2010年世界経済フォーラム(ブリュッセル)
○BIS中央銀行総裁会議・トリシェECB総裁講演                                            
○ギリシャGDP(第1四半期)                                                    
○ヒルデブランドスイス中銀総裁とストロスカーンIMF専務理事が会見                
                                   

ドル円ぱっと見テクニカル
中期トレンドを指針する週足/一目均衡表でみると今週はまさに雲の中(91半ば−94前半)で迷走スタート。先ずは欧米勢のお手並み拝見、と考えます。

0510週足ドル円
出所:岡三オンライン証券:e-profit FXチャート・週足/一目均衡表/ドル円



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プロフィール
武部力也(たけべ りきや)
岡三オンライン証券(株)
投資情報部長 兼 シニアストラテジスト

【経歴】
東京都出身
1989年
日本大学法学部卒業・東京短資入社。トウキョウフォレックス、トウキョウフォレックス上田ハーロー/東京外国為替市場インターバンク(銀行間)市場・ドル円外為ブローカー。
2001年
トウキョウフォレックストレイダーズ証券・情報企画部部長、金融法人事業部部長。
2006年
トウキョウフォレックス・法人営業、営業推進部長。
2009年
岡三証券入社。
(2014年−2017年 東洋大学 社会人基礎力 特別講師)
(2012年−2018年 東京金融取引所 為替・株価指数証拠金市場運営委員会 委員)

【趣味】
剣道、映画鑑賞。

【活動】
■ラジオNIKKEI「マーケットプレス」
日本テレビ(BS/CS)「NEWS24まーけっとNAVI」
東京MXテレビ「東京マーケットワイド」「WORLD MARKETZ」
ほか、日経CNBC等に定期出演、金融系マーケットメディア、新聞、経済誌などでレポート執筆
■公式ブログ「力也のFX道場」
■公式動画「株と為替の売買シナリオ」

【著書】
「勝ち残りFX」(扶桑社)


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